原文

於保伎美能 等保能美可度登 於毛敝礼杼 氣奈我久之安礼婆 古非尓家流可母

作者

阿倍継麻呂(あべのつぐまろ)遣新羅使

よみ

大君(おほきみ)の 遠(とほ)の朝廷(みかど)と 思へれど 日(け)長くしあれば 恋(こ)ひにけるかも

意味

 by 写真AC

(私は)大君(おほきみ:天皇)の命を受けて派遣された使者なのだと誇りに思っているのですが、日が経つと都が恋しくなってしまいました。

- rough meaning: I proud as ambassador sent by the Emperor's order, but I miss my home of the capital city Nara as the time passed.

・天平8年(西暦736年)に新羅(しらぎ)に遣わされた人たち(遣新羅使(けんしらぎし))が韓亭(からとまり:現在の福岡県福岡市西区唐泊あたり)に停泊したときに詠んだ歌6首のひとつです。

補足

この歌の題詞には「筑前國(つくしのみちのくに)志麻郡(しまのこおり:現在の糸島半島北部)の韓亭(からとまり)に到り、舶(ふな)泊りして三日を經(へ)ぬ。ここに夜月の光、皎々(きょうきょう)に流照(りゅうしょう)す[明るく輝いています]。奄(たちまち)に、この華(か:月の光)に對(たい)し、旅情(りょじょう)悽噎(せいいつ:切なく思う)す。各(おのおの)心緒(おもい)を陳(の)べ、聊(いささ)かに裁(つく)る歌六首」とあります。

更新日: 2020年01月05日(日)