原文 Original Text
君我由久 道乃奈我弖乎 久里多々祢 也伎保呂煩散牟 安米能火毛我母
作者 Author
狭野弟上娘子(さののおとがみをとめ) Sano-no-Otogami-wotome
よみ Reading
君が行く 道の長手(ながて)を 繰(く)り畳(たた)ね 焼き滅ぼさむ 天(あめ)の火(ひ)もがも
- Kimi ga yuku Michi no nagate wo Kuri-tatane Yaki horobosamu Ame-no-hi mogamo.
意味 Meaning
あなたが行く長い道のりを、手繰り寄せ、焼き滅ぼしてくれる天の火(ひ)があったらよいのに。
- rough meaning: I eager to wish if there was a heavenly fire that could draw and burn the long way you go.(This poem depicts the despair and sorrow of not wanting to be separated from her exiled husband.)
補足 Note
中臣朝臣宅守(なかとみのあそんやかもり)と狭野弟上娘子(さののおとがみをとめ)との贈答歌(3723番歌から3785番歌まで63首あります)のひとつです。
万葉集巻十五の目録には、「中臣朝臣宅守(なかとみのあそんやかもり)が、蔵部(くらべ)の女嬬(じょじゅ:女官)である狭野弟上娘子(さののおとがみをとめ)をお嫁さんにしたしたが、中臣朝臣宅守が流罪(るざい)となって、越前国(現在の福井県)に送られることになりました。このとき、夫婦が別れ別れになってもう逢えないことを嘆いて、二人がそれぞれの悲しみの心を表して、贈り答える歌」とあります。