原文
尓比牟路能 許騰伎尓伊多礼婆 波太須酒伎 穂尓弖之伎美我 見延奴己能許呂
作者
不明
よみ
新室(にいむろ)の、こどきに至れば、はだすすき、穂に出(で)し君が、見えぬこのころ
意味
新室(にいむろ)の蚕時(こどき)になると、(人に知られた)あなた様をお見かけしないこの頃です。
はだすすきは、「穂に出ず(人目につく、などの意味)」を導く">枕詞です。
補足
「新室(にいむろ)」は「新しく作った室(むろ)」のことで、室(むろ)は窓のない建物をいいます。この歌については養蚕のための小屋と考えられています。
「蚕時(こどき)」は養蚕に適した時期(春)でこの頃はとても忙しいそうです。だから、忙しくて逢うこともできないのでしょうね。