原文
天雲乃 去還奈牟 毛能由恵尓 念曽吾為流 別悲美
作者
藤原卿(ふじわらきょう)[藤原仲麻呂(ふじわらのなかまろ)と考えられています]
よみ
天雲(あまくも)の、行き帰りなむ、ものゆゑに、思ひぞ我(わ)がする、別れ悲しみ
意味
(天雲(あまくも)のように)行っても帰ってくるのでしょう。(だからこそ逆に)私は気持ちが沈みます。別れが悲しいので。
「天雲(あまくも)の」は「行き帰り」を導く枕詞(まくらことば)として使われています。
補足
天平勝宝3年(西暦751年)に詠まれた歌で、この歌の題詞には、「大納言(だいなごん)の藤原家で入唐使等の餞別の宴を催した日の歌一首 (即ち主人である卿の作)」とあります。