第十六巻 : 生き死にの二つの海を厭はしみ

2009年12月27日(日)更新


原文: 生死之 二海乎 ■(厭-厂)見 潮干乃山乎 之努比鶴鴨

作者: 不明<

よみ: 生き死にの、二つの海を、厭(いと)はしみ、潮干(しほひ)の山を、偲(しの)ひつるかも

意味: 生と死の間で波打つこの世の中が嫌になって、(そんなことのない)あの世のことを思っているのです。

この世の中を、仏教でよくたとえられるように、潮が満ち干する海にたとえて詠んだ歌のようです。

「世間(よのなか)の無常を厭(いと)ふ歌」と題された歌の一つです。この歌の注に、「奈良の川原寺(かわはらでら)の仏堂にあった琴に書かれていた」とあります。

撮影 by きょう

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