原文
天漢 安渡丹 船浮而 秋立待等 妹告与具
作者
柿本朝臣人麻呂之歌集より
よみ
天の川、安(やす)の渡りに、舟(ふね)浮(う)けて、秋立つ待つと、妹(いも)に告げこそ
意味
天の川の安(やす)の渡しに舟を浮かべて、秋になるのを待っていますと、妻に告げてください。
「安(やす)の渡り」は、古事記・日本書紀に記述されている「天の安の川(船着き場がある)」から連想したものと考えられています。
彦星が天の川を舟で渡って織姫に逢いに行ける秋になるのを待っている歌ですね。
補足
秋雑歌のひとつで、この歌を含む1996番歌の題詞には「七夕」とあります。また、この歌を含む2033番歌の左注には「右、柿本朝臣人麻呂(かきのもとのあそんひとまろ)の歌集に出づ。」とあります。