雨不零 殿雲流夜之 潤濕跡 戀乍居寸 君待香光
阿倍広庭(あべのひろにわ)
雨降らず、との曇る夜の、ぬるぬると、恋(こ)ひつつ居(を)りき、君待ちがてり
雨が降らないですっかり空が曇った夜のように、鬱々(うつうつ)とした湿っぽい心持ちで恋しく思っていました。あなたを待って。
「潤濕跡」は、「ぬるぬると」のほかに「しめじめと」や「ぬれひづと」」と読む説があり、はっきりとはしていません。