原文
阿米都之乃 以都例乃可美乎 以乃良波加 有都久之波々尓 麻多己等刀波牟
作者
大伴部麻与佐(おほともべのまよさ)
よみ
天地(あめつし)の、いづれの神(かみ)を、祈(いの)らばか、愛(うつく)し母(はは)に、また言(こと)とはむ
意味
天の神、地の神、どの神に祈ったら、いとしい母に、また話しができるのでしょうか。

補足
この歌は、いわゆる防人の歌で、天平勝宝七年(西暦755年)二月十六日に、下総國(しもふさのくに)の防人部領使(さきもりぶりょうし)である少目(しょうさかん)従七位下の縣犬養宿祢浄人(あがたのいぬかいのすくねきよひと)が提出した22首のひとつです。なお、つたない歌は載せられませんでした。
この歌の注に、「右の一首、埴生郡(はにふのこほり)大伴部麻与佐(おほともべのまよさ)」とあります。埴生郡(はにふのこほり)は、現在の千葉県成田市近辺にあたります。