第二十巻 : 大き海の水底深く思ひつつ
2010年04月04日(日)更新 |
原文: 於保吉宇美能 美奈曽己布可久 於毛比都々 毛婢伎奈良之思 須我波良能佐刀 作者: 石川女郎(いしかわのいらつめ) よみ: 大き海の、水底(みなそこ)深く、思ひつつ、裳引(もび)き平(なら)しし、菅原(すがはら)の里 |
意味: 大きな海の底のように心の奥深く、あなたさまのことを思いながら、裳(も)の裾を引きづって道が平らになるほど何度も行ったり来たりした、菅原(すがはら)の里。 「平(なら)し」は、平らにするという意味です。愛されているときには、だんなさまの訪れを待ちきれずに、何度も家の前を往き来したのかもしれませんね。 |
この歌の注に「藤原宿奈麻呂朝臣(ふじわらのすくなまろあそん)の妻、石川女郎(いしかわのいらつめ)が、愛が薄れて離別させられて、悲しみ恨んで作った歌。年月は不明。」とあります。 |