原文
紅之 深染乃衣乎 下著者 人之見久尓 仁寳比将出鴨
作者
不明
よみ

紅(くれなゐ)の、深染(こそ)めの衣(ころも)を、下に着ば、人の見らくに、にほひ出(い)でむかも
意味
紅(くれなゐ)の濃染めの衣を下に着たら、人の見ているところで、透けて見えたりしないでしょうか。
この歌の題詞には「譬喩(ひゆ)」とあります。深染めの衣は、恋人のことを示していて、「あの女(ひと)とのことが人にばれたりしないだろうか」と心配している歌と考えられます。
補足
この歌を含む2829番歌の左注には、「右二首、衣に寄せて思いを喩(たと)えた」とあります。