原文

比左可多能 安麻弖流月波 見都礼杼母 安我母布伊毛尓 安波奴許呂可毛

作者

遣新羅使(けんしらぎし)

よみ

ひさかたの、天(あま)照る月(つき)は、見つれども、我が思ふ妹(いも)に、逢はぬころかも

意味

月 撮影(2017.08) by きょう

空に照る月(つき)は見たけれど、私の想う妻には逢っていないこのごろです。

補足

この歌を含む3644番歌の題詞に、「佐婆(さば)の海中で忽(たちまち)に逆風に遭(あ)い、漲(たた)える浪(なみ)に漂流した。宿すことを經(へ)て後に、幸いに順風を得て豊前國(ぶぜんのくに)の下毛郡(しもつみけのこおり)の分間浦(わくまのうら)に到着した。 ここに艱難(かんなん)を追いて怛(いた)み、悽惆(せいちゅう:心が痛むこと)して作る八首」とあります。」とあります。

※「佐婆(さば)の海中」は現在の防府市沖の周防灘付近、「分間浦(わくまのうら)」は現在の大分県中津市の海岸と考えられています。

更新日: 2017年09月03日(日)