原文

朝露乃 既夜須伎我身 比等國尓 須疑加弖奴可母 意夜能目遠保利

作者

麻田陽春(あさだのやす)

よみ

朝露(あさつゆ)の、消(け)やすき我(あ)が身、他国(ひとくに)に、過ぎかてぬかも、親の目を欲(ほ)り

意味

朝露 撮影() by きょう

朝露(あさつゆ)のように、はかなく消えやすい私ですが、他国では死ぬに死にきれません。親に会いたくて。

この歌での「他国」は、安芸の国(現在の広島県)のことです。

大伴君熊凝は、肥後の国(現在の熊本県)の人です。18歳の時に国司に従って奈良に向かいましたが、旅の途中に病気で安芸の国で亡くなったとのことです。詳しいことは886番歌の題詞にあります。

補足

この歌を含む0884番歌の題詞には、「大伴君熊凝(おおとものくまごり)の歌二首 大典(だいてん:書記長のような官職)麻田陽春(あさだのやす)の作」とあります。この歌は大典麻田陽春が大伴君熊凝のことを詠んだ二首の歌のひとつです。

更新日: 2017年02月12日(日)