原文 Original Text
夏葛之 不絶使乃 不通有者 言下有如 念鶴鴨
作者 Author
大伴坂上郎女(おおとものさかのうえのいらつめ) Otomo-no-Sakanoue-no-Iratsume
よみ Reading
夏葛(なつくず)の 絶えぬ使(つかひ)の よどめれば 事(こと)しもあるごと 思ひつるかも
- Natsu-kuzu no Taenu tsukahi no Yodomere ba Koto-shi mo arugoto Omohi tsuru kamo.
意味 Meaning
夏(なつ)の葛(くず)のように、いつも絶えることなくやってくる使いの人が来ないので、あなた様に何事かが起こったのかと思ってしまいました。
・駿河麻呂(するがのまろ)が大伴坂上郎女に贈った歌(0648番歌)に対して、大伴坂上郎女が詠んだ返歌です。
- rough meaning: I wondered if something had happened to you because the messengers who came incessantly like Kuzu in summer didn't come.(He and she exchanged poem(no.0468) and this poem(no.0649) to ask each other how they were.)
補足 Note
この歌の左注には、「右、坂上郎女(さかのうえのいらつめ)は佐保大納言卿(さほのだいなごんのまえつきみ)の女(むすめ)なり。 駿河麻呂(するがのまろ)はこの高市大卿(たけちのおおまえつきみ)の孫なり。 両卿は兄弟の家、女孫は姑姪(おばおひ:叔母と甥)の族(うがら:親戚)なり。 ここをもちて歌を題(つく)りて送答し、起居(ききょ:様子/安否)を相問(そうもん)す。」とあります。