大伴坂上郎女(おおとものさかのうえのいらつめ) Otomo-no-Sakanoue-no-Iratsume

イラスト by 倉橋ルリ子さま

大伴旅人(おおとものたびと)の異母妹で、大伴家持(おおとものやかもち)の叔母さんにあたります。

最初、穂積皇子(ほずみのみこ)に嫁ぎましたが、死別の後、藤原麻呂(ふじわらのまろ)、ついで大伴宿奈麻呂(おおとものすくなまろ)の妻となりました。

大伴宿奈麻呂が若くして亡くなった後は、一時期、大宰府の大伴旅人のもとに身を寄せていました。都に戻ってからは佐保の邸宅に住み、大伴家持を支えるなど大伴氏にとって重要な存在となったようです。

- Otomo-no-Sakanoue-no-Iratsume is the younger half-younger-sister of Otomo-no-Tabito and is the aunt of Otomo-no-Yakamochi.At first, she married Prince Hozumi, but after bereavement of her husband, she became the wife of Fujiwara-no-Maro and then Otomo-no-Sukunamaro.After Otomo-no-Sukunamaro died young, she lived with Otomo-no-Tabito in Dazaifu for a while. After she returned to the capital, she lived in Saho's residence and seemed to be the important person to Otomo's family with supporting Otomo-no-Yakamochi.

大伴坂上郎女が詠んだ歌

万葉集には84首もの歌が載っています。

0379: ひさかたの天の原より生れ来る神の命.......(長歌)

0380: 木綿畳手に取り持ちてかくだにも我れは祈ひなむ君に逢はじかも

0401: 山守のありける知らにその山に標結ひ立てて結ひの恥しつ

0410: 橘を宿に植ゑ生ほし立ちて居て後に悔ゆとも験あらめやも

0460: 栲づのの新羅の国ゆ人言をよしと聞かして.......(長歌)

0461: 留めえぬ命にしあれば敷栲の家ゆは出でて雲隠りにき

0525: 佐保川の小石踏み渡りぬばたまの黒馬来る夜は年にもあらぬか

0526: 千鳥鳴く佐保の川瀬のさざれ波やむ時もなし我が恋ふらくは

0527: 来むと言ふも来ぬ時あるを来じと言ふを来むとは待たじ来じと言ふものを

0528: 千鳥鳴く佐保の川門の瀬を広み打橋渡す汝が来と思へば

0529: 佐保川の岸のつかさの柴な刈りそねありつつも春し来たらば立ち隠るがね

0563: 黒髪に白髪交り老ゆるまでかかる恋にはいまだ逢はなくに

0564: 山菅の実ならぬことを我れに寄せ言はれし君は誰れとか寝らむ

0585: 出でていなむ時しはあらむをことさらに妻恋しつつ立ちていぬべしや

0586: 相見ずは恋ひずあらましを妹を見てもとなかくのみ恋ひばいかにせむ

0619: おしてる難波の菅のねもころに君が聞こして.......(長歌)

0620: 初めより長く言ひつつ頼めずはかかる思ひに逢はましものか

0647: 心には忘るる日なく思へども人の言こそ繁き君にあれ

0649: 夏葛の絶えぬ使のよどめれば事しもあるごと思ひつるかも

0651: ひさかたの天の露霜置きにけり家なる人も待ち恋ひぬらむ

0652: 玉守に玉は授けてかつがつも枕と我れはいざふたり寝む

0656: 我れのみぞ君には恋ふる我が背子が恋ふといふことは言のなぐさぞ

0657: 思はじと言ひてしものをはねず色のうつろひやすき我が心かも

0658: 思へども験もなしと知るものを何かここだく我が恋ひわたる

0659: あらかじめ人言繁しかくしあらばしゑや我が背子奥もいかにあらめ

0660: 汝をと我を人ぞ離くなるいで我が君人の中言聞きこすなゆめ

0661: 恋ひ恋ひて逢へる時だにうるはしき言尽してよ長くと思はば

0666: 相見ぬは幾久さにもあらなくにここだく我れは恋ひつつもあるか

0667: 恋ひ恋ひて逢ひたるものを月しあれば夜は隠るらむしましはあり待て

0673: まそ鏡磨ぎし心をゆるしてば後に言ふとも験あらめやも

0674: 真玉つくをちこち兼ねて言は言へど逢ひて後こそ悔にはありといへ

0683: 言ふ言の畏き国ぞ紅の色にな出でそ思ひ死ぬとも

0684: 今は我は死なむよ我が背生けりとも我れに依るべしと言ふといはなくに

0685: 人言を繁みか君が二鞘の家を隔てて恋ひつつまさむ

0686: このころは千年や行きも過ぎぬると我れやしか思ふ見まく欲りかも

0687: うるはしと我が思ふ心速川の塞きに塞くともなほや崩えなむ

0688: 青山を横ぎる雲のいちしろく我れと笑まして人に知らゆな

0689: 海山も隔たらなくに何しかも目言をだにもここだ乏しき

0721: あしひきの山にしをれば風流なみ我がするわざをとがめたまふな

0723: 常世にと我が行かなくに小金門にもの悲しらに.......(長歌)

0724: 朝髪の思ひ乱れてかくばかり汝姉が恋ふれぞ夢に見えける

0725: にほ鳥の潜く池水心あらば君に我が恋ふる心示さね

0726: 外に居て恋ひつつあらずは君が家の池に住むといふ鴨にあらましを

0760: うち渡す武田の原に鳴く鶴の間なく時なし我が恋ふらくは

0761: 早川の瀬に居る鳥のよしをなみ思ひてありし我が子はもあはれ

0963: 大汝少彦名の神こそば名付けそめけめ.......(長歌)

0964: 我が背子に恋ふれば苦し暇あらば拾ひて行かむ恋忘貝

0979: 我が背子が着る衣薄し佐保風はいたくな吹きそ家に至るまで

0981: 狩高の高円山を高みかも出で来る月の遅く照るらむ

0982: ぬばたまの夜霧の立ちておほほしく照れる月夜の見れば悲しさ

0983: 山の端のささら愛壮士天の原門渡る光見らくしよしも

0992: 故郷の飛鳥はあれどあをによし奈良の明日香を見らくしよしも

0993: 月立ちてただ三日月の眉根掻き日長く恋ひし君に逢へるかも

0995: かくしつつ遊び飲みこそ草木すら春は咲きつつ秋は散りゆく

1017: 木綿畳手向けの山を今日越えていづれの野辺に廬りせむ我れ

1028: ますらをの高円山に迫めたれば里に下り来るむざさびぞこれ

1432: 我が背子が見らむ佐保道の青柳を手折りてだにも見むよしもがも

1433: うち上る佐保の川原の青柳は今は春へとなりにけるかも

1445: 風交り雪は降るとも実にならぬ我家の梅を花に散らすな

1447: 世の常に聞けば苦しき呼子鳥声なつかしき時にはなりぬ

1450: 心ぐきものにぞありける春霞たなびく時に恋の繁きは

1474: 今もかも大城の山に霍公鳥鳴き響むらむ我れなけれども

1475: 何しかもここだく恋ふる霍公鳥鳴く声聞けば恋こそまされ

1484: 霍公鳥いたくな鳴きそひとり居て寐の寝らえぬに聞けば苦しも

1498: 暇なみ来まさぬ君に霍公鳥我れかく恋ふと行きて告げこそ

1500: 夏の野の茂みに咲ける姫百合の知らえぬ恋は苦しきものぞ

1502: 五月の花橘を君がため玉にこそ貫け散らまく惜しみ

1548: 咲く花もをそろはいとはしおくてなる長き心になほしかずけり

1560: 妹が目を始見の崎の秋萩はこの月ごろは散りこすなゆめ

1561: 吉隠の猪養の山に伏す鹿の妻呼ぶ声を聞くが羨しさ

1592: しかとあらぬ五百代小田を刈り乱り田廬に居れば都し思ほゆ

1593: 隠口の泊瀬の山は色づきぬ時雨の雨は降りにけらしも

1620: あらたまの月立つまでに来まさねば夢にし見つつ思ひぞ我がせし

1651: 沫雪のこのころ継ぎてかく降らば梅の初花散りか過ぎなむ

1654: 松蔭の浅茅の上の白雪を消たずて置かむことはかもなき

1656: 酒杯に梅の花浮かべ思ふどち飲みての後は散りぬともよし

3927: 草枕旅行く君を幸くあれと斎瓮据ゑつ我が床の辺に

3928: 今のごと恋しく君が思ほえばいかにかもせむするすべのなさ

3929: 旅に去にし君しも継ぎて夢に見ゆ我が片恋の繁ければかも

3930: 道の中国つみ神は旅行きもし知らぬ君を恵みたまはな

4080: 常人の恋ふといふよりはあまりにて我れは死ぬべくなりにたらずや

4081: 片思ひを馬にふつまに負ほせ持て越辺に遣らば人かたはむかも

4220: 海神の神の命のみ櫛笥に貯ひ置きて.......(長歌)

4221: かくばかり恋しくしあらばまそ鏡見ぬ日時なくあらましものを

更新日: 2022年01月16日(日)