原文
橘乎 屋前尓殖生 立而居而 後雖悔 驗将有八方
作者
よみ
橘(たちばな)を 宿(やど)に植(う)ゑ生(お)ほし 立(た)ちて居(ゐ)て 後(のち)に悔(く)ゆとも 験(しるし)あらめやも
意味
橘(たちばな)を庭に植えて、ちゃんと育つか心配してきたのに、ちょっと油断している間に取られてしまったら、どうしようもないことです。
・大切に育ててきた愛娘が、いやな男性にとられたりしないかと心配をしている歌ではないかとも考えられています。ちなみに、大伴坂上郎女には大嬢(おほをとめ)と二嬢(おとをとめ)の二人の娘さんがいます。
- rough meaning: I planted Tachibana in my garden and I was worried that it would grow up properly. But if it was stolen by someone while I was a little off guard, there is nothing I can do about it.(She might be worrying if a beloved daughter who has been carefully raised may be taken by a man with uncertain identity.)
補足
・この歌の題詞に「大伴坂上郎女(おおとものさかのうえのいらつめ)、橘(たちばな)の歌一首」とあります。