原文 Original Text
佐奴良久波 多麻乃緒婆可里 古布良久波 布自能多可祢乃 奈流佐波能其登
作者 Author
不明 Unknown
よみ Reading
さ寝(ぬ)らくは 玉の緒(を)ばかり 恋(こ)ふらくは 富士(ふじ)の高嶺(たかね)の 鳴沢(なるさわ)のごと
- Sanuraku ha Tama no wo bakari Kofuraku ha Fuji no takane no Narusawa no goto.
意味 Meaning
寝たのはわずかの間だけ。恋しい気持ちは富士(ふじ)の高嶺(たかね)の鳴沢(なるさは)のように激しく鳴り響いているのです。
・「鳴沢(なるさは)」は、現在の富士山の西斜面にある大規模な崩壊地である大沢(大沢崩れとも呼ばれています)と考えられています。ここを源とする大沢川は駿河湾にまで流れ込んでいます。
- rough meaning: The time I slept with her was very short. But my heart, longing for her, is rumbling like the Narusawa on the high peaks of Mount Fuji.
補足 Notes
・この歌には「或本の歌に曰はく」および「一本の歌に曰はく」と注記された次の二つの歌が載っています。