第十九巻 : 妹に似る草と見しより我が標し

2000年4月23日(日)更新


原文: 妹尓似 草等見之欲里 吾標之 野邊之山吹 誰可手乎里之

作者: 大伴家持(おおとものやかもち)

よみ: 妹(いも)に似る、草と見しより、我が標(しめ)し、野辺の山吹(やまぶき)、誰(た)れか手折(たを)りし

あなたに似ている草だと、私が標(しめ)をした野辺の山吹(やまぶき)を誰が手折ったのでしょうか。

この歌の題詞には、「京人(みやこひと)に贈る歌二首」となっています。この歌はそのうちの一首です。もう一首はこの歌に続く「つれもなく離れにしものと人は言へど逢はぬ日まねみ思ひぞ我がする」という歌です。

撮影(2000.4) by きょう

また、この歌の注には次のように書かれています。

  • 右為贈留女之女郎所誂家婦作也 [女郎者即大伴家持之妹]
  • 右、留女之女郎(りうじょのいらつめ)に贈らむために家婦(かふ)に誂(あとら)えて作る [女郎(いらつめ)は大伴家持の妹]

大伴家持(おおとものやかもち)の妹の留女女郎(りうじょのいらつめ)に贈るために、大伴家持(おおとものやかもち)の奥さまである坂上大嬢(さかのうえのだいじょう)に頼まれて詠んだ歌、なのですね。


第十九巻