原文
朝霧之 多奈引田為尓 鳴鴈乎 留得哉 吾屋戸能波義
作者
よみ
朝霧(あさぎり)の、たなびく田居(たゐ)に、鳴く雁(かり)を、留(とど)め得(え)むかも、我が宿(やど)の萩(はぎ)
意味
朝霧(あさぎり)がたなびく田に鳴いている雁(かり)を引きとどめることができるでしょうか、私の家の萩(はぎ)は。
補足
この歌の左注には、「右の一首の歌は、芳野宮(よしののみや)に幸(いでま)しし時、藤原皇后(ふじはらのおはきさき:光明皇后(こうみょうこうごう))の御作らせるなり。但し、年月は未だ審詳(つばひ)らかならず(はっきりしないこと) (天平勝宝2年:西暦750年)十月五日、河邊朝臣東人(かはへのあそんあづまひと)の傳誦(でんしょう)という。」、とあります。