原文

奈泥之故波 秋咲物乎 君宅之 雪巌尓 左家理家流可母

作者

久米広縄(くめのひろなわ)

よみ

なでしこは、秋(あき)咲くものを、君が家の、雪(ゆき)の巌(いわお)に、咲けりけるかも

意味

雪 撮影(2014.02) by きょう

なでしこは、秋(あき)に咲くものなのに、君が家の雪(ゆき)の巌(いわお)に咲いていますね。

- rough meaning: Nadeshiko is supposed to bloom in the fall, but it's blooming on the rock in the snow of your garden.(They enjoyed making rocks using the snow that was piled up, making them look like flowers of Nadeshiko.)

補足

この歌は、天平勝宝3年(西暦752年)1月3日、内蔵縄麻呂(くらのなわまろ)の館で催された宴で詠まれたものです。

この歌の題詞は、「この時、積む雪に重巌(ちょうがん)の起(た)てるを彫(え)り成し(彫刻して)、奇巧(たく)みに草樹の花を綵(いろどり)發(いだ)す。これに属(つ)けて掾(じょう)久米朝臣廣縄(くめのあそんひろなわ)の作る歌一首」とあります。

積もった雪を使って、岩山を彫って、草木の花が咲いているように作って楽しんだのですね。

更新日: 2020年07月12日(日)