原文
天雲乎 富呂尓布美安太之 鳴神毛 今日尓益而 可之古家米也母
作者
縣犬養三千代(あがたのいぬかいのみちよ)
よみ
天雲(あまくも)、を、ほろに踏みあだし、鳴る神も、今日にまさりて畏(かしこ)けめやも
意味
天の雲(くも)をばらばらに踏み散らして鳴る雷(かみなり)でも、今日以上に恐れ多いことがありますでしょうか。
縣犬養三千代(あがたのいぬかいのみちよ)が聖武天皇に献上した歌で、天皇を畏怖する気持ちを詠んだ歌と考えられています。
補足
この歌の題詞には、「太政大臣藤原家の縣犬養命婦(あがたのいぬかいのみょうぶ)、天皇(ここでは聖武天皇のこと)に奉(たてまつ)る歌一首」とあります。
この歌の左注には、「右一首、傳誦(でんしょう)するは掾(じょう)久米朝臣廣縄(くめのあそんひろつな)也(なり)」とあります。