原文
大夫之 鞆乃音為奈利 物部乃 大臣 楯立良思母
作者
元明天皇(げんめいてんのう)
よみ
ますらをの、鞆(とも)の音すなり、物部(もののふ)の、大臣(おほまへつきみ)、盾(たて)立つらしも
意味
ますらをの鞆(とも)の音が聞こえます。物部の大臣が楯(たて)を立てているようです。
「鞆(とも)」は、矢を放ったあとに弓の弦が腕などに当たるのを防ぐ防具のことです。また、「楯(たて)」は、矢、石、剣などによる攻撃を防ぐための武具のことです。
補足
この歌の題詞には「和銅元年(西暦708年)戊申(つちのえさる) 天皇の御製歌(おほみうた: お作りになった歌)」とあります。
この歌は、主に、元明天皇の即位の儀式の際に詠まれたと考えられています。なお、「物部の大臣」については、将軍ことだという説や石上麻呂(いそのかみのまろ)だという説があるそうです。