第六巻 : 鯨魚取り浜辺を清みうち靡き
2005年08月21日(日)更新 |
原文: 鯨魚取 濱邊乎清三 打靡 生玉藻尓 朝名寸二 千重浪縁 夕菜寸二 五百重<波>因 邊津浪之 益敷布尓 月二異二 日日雖見 今耳二 秋足目八方 四良名美乃 五十開廻有 住吉能濱 作者: 車持千年(くるまもちのちとせ) よみ: 鯨魚(いさな)取り、浜辺(はまへ)を清(きよ)み、うち靡(なび)き、生(お)ふる玉藻(たまも)に、朝なぎに、千重波(ちへなみ)寄(よ)せ、夕(ゆふ)なぎに、五百重波(いほへなみ)寄す、辺(へ)つ波の、いやしくしくに、月に異(け)に、日に日に見とも、今のみに、飽(あ)き足(た)らめやも、白波(しらなみ)の、い咲(さ)き廻(めぐ)れる、住吉(すみよし)の浜(はま) |
意味: 浜辺は清く、なびき揺れて生えている玉藻(たまも)に、朝なぎに、夕なぎにたくさんの波が寄せてきます。この岸辺の波のように、何度も何度も、月を重ねて、日に日に見ても、飽き足りるなんてことはないでしょうね、白波の花が咲きめぐる住吉の浜は。 |
「鯨魚(いさな)取り」は、海や浜を導く枕詞(まくらことば)です。鯨魚(いさな)の項もご参照ください。 「住吉の浜」は、現在の大阪府大阪市住吉区の住吉大社(すみよしたいしゃ)あたりの浜を言うようです(当時の海岸線の詳細は不明)。 |