白波(しらなみ) Shiranami(White waves)
強い風によって水に空気が混入し、白く泡立って見える波のことです。
- Shiranami is a wave that looks white and foamy due to air mixed in the water due to strong winds.
白波(しらなみ)を詠んだ歌 Poems including Shiranami
万葉集の歌でも、海岸などに打ち寄せる「白波」がほとんどです。でも、中には、吉野の瀧(たき)を流れる水を「白波」と詠んでいるように、川や沼の流れを「白波」と詠んでいる歌もあります。
- Most of the Shiranami poems in the Manyoshu poem refer to the waves lapping at the coast. Some poems refer to the flow of rivers and swamps as "Shiranami" just as the water flowing through Yoshino's Taki(waterfall) is called "Shiranami".
0034: 白波の浜松が枝の手向けぐさ幾代までにか年の経ぬらむ
0083: 海の底沖つ白波龍田山いつか越えなむ妹があたり見む
0220: 玉藻よし讃岐の国は国からか.......(長歌)
0288: 我が命のま幸くあらばまたも見む志賀の大津に寄する白波
0294: 風をいたみ沖つ白波高からし海人の釣舟浜に帰りぬ
0306: 伊勢の海の沖つ白波花にもが包みて妹が家づとにせむ
0313: み吉野の滝の白波知らねども語りし継げばいにしへ思ほゆ
0388: 海神はくすしきものか淡路島中に立て置きて.......(長歌)
0908: 年のはにかくも見てしかみ吉野の清き河内のたぎつ白波
0917: やすみしし我ご大君の常宮と仕へ奉れる.......(長歌)
0931: 鯨魚取り浜辺を清みうち靡き生ふる玉藻に.......(長歌)
0932: 白波の千重に来寄する住吉の岸の埴生ににほひて行かな
0937: 行き廻り見とも飽かめや名寸隅の舟瀬の浜にしきる白波
1150: 住吉の岸に家もが沖に辺に寄する白波見つつ偲はむ
1158: 住吉の沖つ白波風吹けば来寄する浜を見れば清しも
1168: 今日もかも沖つ玉藻は白波の八重をるが上に乱れてあるらむ
1196: つともがと乞はば取らせむ貝拾ふ我れを濡らすな沖つ白波
1219: 若の浦に白波立ちて沖つ風寒き夕は大和し思ほゆ
1238: 高島の安曇白波は騒けども我れは家思ふ廬り悲しみ
1389: 礒の浦に来寄る白波返りつつ過ぎかてなくは誰れにたゆたへ
1391: 朝なぎに来寄る白波見まく欲り我れはすれども風こそ寄せね
1453: 玉たすき懸けぬ時なく息の緒に我が思ふ君は......(長歌)
1665: 妹がため我れ玉拾ふ沖辺なる玉寄せ持ち来沖つ白波
1667: 妹がため我れ玉求む沖辺なる白玉寄せ来沖つ白波
1673: 風莫の浜の白波いたづらにここに寄せ来る見る人なしに
1716: 白波の浜松の木の手向けくさ幾代までにか年は経ぬらむ
1757: 草枕旅の憂へを慰もることもありやと......(長歌)
2016: 天の川白波高し我が恋ふる君が舟出は今しすらしも
2085: 天の川瀬々に白波高けども直渡り来ぬ待たば苦しみ
2089: 天地の初めの時ゆ天の川い向ひ居りて......(長歌)
2164: 背を早み落ちたぎちたる白波にかはづ鳴くなり朝夕ごとに
2485: 近江の海沖つ白波知らずとも妹がりといはば七日越え来む
2733: 白波の来寄する島の荒礒にもあらましものを恋ひつつあらずは
2737: 大伴の御津の白波間なく我が恋ふらくを人の知らなく
3015: 神のごと聞こゆる瀧の白波の面知る君が見えぬこのころ
3023: 隠り沼の下ゆ恋ひあまり白波のいちしろく出でぬ人の知るべく
3029: 佐太の浦に寄する白波間なく思ふを何か妹に逢ひかたき
3158: 旅にありてものをぞ思ふ白波の辺にも沖にも寄るとはなしに
3200: 飼飯の浦に寄する白波しくしくに妹が姿は思ほゆるかも
3232: 斧取りて丹生の桧山の木伐り来て筏に作り..........
3233: み吉野の瀧もとどろに落つる白波留まりにし妹に見せまく欲しき白波
3360: 伊豆の海に立つ白波のありつつも継ぎなむものを乱れしめめや
3596: 我妹子が形見に見むを印南都麻白波高み外にかも見む
3597: わたつみの沖つ白波立ち来らし海人娘子ども島隠る見ゆ
3627: 朝されば妹が手にまく鏡なす御津の浜びに.......(長歌)
3629: 秋さらば我が船泊てむ忘れ貝寄せ来て置けれ沖つ白波
3654: 可之布江に鶴鳴き渡る志賀の浦に沖つ白波立ちし来らしも
3673: 風吹けば沖つ白波畏みと能許の亭にあまた夜ぞ寝る
3935: 隠り沼の下ゆ恋ひあまり白波のいちしろく出でぬ人の知るべく
3961: 白波の寄する礒廻を漕ぐ舟の楫取る間なく思ほえし君
3985: 射水川い行き廻れる玉櫛笥二上山は.......(長歌)
3989: 奈呉の海の沖つ白波しくしくに思ほえむかも立ち別れなば
3991: もののふの八十伴の男の思ふどち心遣らむと.......(長歌)
3992: 布勢の海の沖つ白波あり通ひいや年のはに見つつ偲はむ
3994: 白波の寄せ来る玉藻世の間も継ぎて見に来む清き浜びを
4006: かき数ふ二上山に神さびて立てる栂の木.......(長歌)
4093: 阿尾の浦に寄する白波いや増しに立ちしき寄せ来東風をいたみかも
4187: 思ふどちますらをのこの木の暗の.......(長歌)
4360: 皇祖の遠き御代にも押し照る難波の国に.......(長歌)
4379: 白波の寄そる浜辺に別れなばいともすべなみ八度袖振る
4389: 潮舟の舳越そ白波にはしくも負ふせたまほか思はへなくに
4503: 君が家の池の白波礒に寄せしばしば見とも飽かむ君かも