原文
徃廻 雖見将飽八 名寸隅乃 船瀬之濱尓 四寸流思良名美
作者
笠金村(かさのかなむら)
よみ
行(ゆ)き廻(めぐ)り、見とも飽(あ)かめや、名寸隅(なきすみ)の、舟瀬(ふなせ)の浜に、しきる白波(しらなみ)
意味
行きめぐって見ても飽きることがありましょうか。名寸隅(なきすみ)の舟瀬(ふなせ)の浜に、絶え間なく寄せてくる白波(しらなみ)は。
補足
この歌の題詞には、「神亀三年(西暦726年)秋九月十五日、播磨國(はりまのくに)印南野(いなみの)に幸(いでま)す時に笠朝臣金村(かさのあそんかなむら)の作る歌一首、并(なら)びに短歌」とあります。ただし、続日本紀(しょくにほんぎ)には聖武天皇の播磨国印南野行幸は十月七日の出発となっていて、一ヶ月ほどずれています。
舟瀬(ふなせ)は、舟が風や波を避けるために泊まる場所をいいます。