原文
我屋戸之 梅咲有跡 告遣者 来云似有 散去十方吉
作者
不明
よみ
我が宿(やど)の、梅(うめ)咲きたりと、告げ遣(や)らば、来(こ)と言ふに似たり、散りぬともよし
意味
私の家の庭に梅(うめ)が咲きましたとお知らせしたら、「来てくださいよ」と言っているのと同じことです。(こうして来てくださったので)もう散ってもよいのです。
- rough meaning: When I tell you that Ume(Japanese Apricot) have bloomed in my garden, it means that I am saying, "Please come." I don't care any more if the flowers scatter because you came to my house.
補足
この歌の題詞には、「(天平8年(西暦736年)の)冬十二月十二日に歌儛所(うたまいどころ:歌舞の担当部署)の諸(もろもろ)の王や臣子(おみこ:家来)たちが葛井連廣成(ふじわらのむらじひろなり)の家に集まって宴(うたげ)する歌二首。近ごろ古儛(こぶ)が盛りになりましたが、今年も暮れました。当然のように共に古い情をもって古い歌を歌いましょう。ですからこれに、賛同して古い歌を二つ献上します。風流で意気ある者が、たまたまこの席にいらっしゃったら争って思いを起こし、それぞれ古い歌に和してください。」とあります。