梅(うめ) Ume(Japanese Apricot)
梅はバラ科サクラ属の落葉低木です。1~3月、葉が出る前に白、ピンク、紅などの花が咲きます。中国が原産ですが、かなり古い時代から日本でも好まれたようです。
- Japanese Apricot is rosaceous tree. It blooms in red, pink or white during February and May in Japan. It originally came from China to Japan.
梅(うめ)を詠んだ歌 Poems including Ume
万葉集では萩に次いで多く、119首に詠まれています。雪といっしょに詠んだ歌が目立ちます。また、鶯(うぐいす)が登場する歌も多いですね。なお、万葉集に詠まれている梅は、すべて白梅と考えられています。
「梅花の歌 32首」の序文(漢文です)は、年号 「令和」の典拠とされたため、よく知られるようになりました。
- Japanese Apricots are written in 119 poems in Manyoshu. There are many poems which express plum in the snow or Uguisu(Japanese nightingale). According to these poems, officials in Manyo-period seemd to enjoy plum blossom viewing.
- The preface to "Baika no Uta 32(32 poems of plum blossom)" widely became known recently because it is the source of the name of "Reiwa" year.
0392: ぬばたまのその夜の梅をた忘れて折らず来にけり思ひしものを
0398: 妹が家に咲きたる梅のいつもいつもなりなむ時に事は定めむ
0399: 妹が家に咲きたる花の梅の花実にしなりなばかもかくもせむ
0400: 梅の花咲きて散りぬと人は言へど我が標結ひし枝にあらめやも
0453: 我妹子が植ゑし梅の木見るごとに心咽せつつ涙し流る
0786: 春の雨はいやしき降るに梅の花いまだ咲かなくいと若みかも
0788: うら若み花咲きかたき梅を植ゑて人の言繁み思ひぞ我がする
0792: 春雨を待つとにしあらし我がやどの若木の梅もいまだふふめり
梅花の歌 32首(併せて序)
0815: 正月立ち春の来らばかくしこそ梅を招きつつ楽しき終へめ
(「年号 令和」のもととなった序はここに記載しました)
0816: 梅の花今咲けるごと散り過ぎず我が家の園にありこせぬかも
0817: 梅の花咲きたる園の青柳は蘰にすべくなりにけらずや
0818: 春さればまづ咲くやどの梅の花独り見つつや春日暮らさむ
0819: 世の中は恋繁しゑやかくしあらば梅の花にもならましものを
0820: 梅の花今盛りなり思ふどちかざしにしてな今盛りなり
0821: 青柳梅との花を折りかざし飲みての後は散りぬともよし
0822: 我が園に梅の花散るひさかたの天より雪の流れ来るかも
0823: 梅の花散らくはいづくしかすがにこの城の山に雪は降りつつ
0824: 梅の花散らまく惜しみ我が園の竹の林に鴬鳴くも
0825: 梅の花咲きたる園の青柳を蘰にしつつ遊び暮らさな
0826: うち靡く春の柳と我がやどの梅の花とをいかにか分かむ
0827: 春されば木末隠りて鴬ぞ鳴きて去ぬなる梅が下枝に
0828: 人ごとに折りかざしつつ遊べどもいやめづらしき梅の花かも
0829: 梅の花咲きて散りなば桜花継ぎて咲くべくなりにてあらずや
0830: 万代に年は来経とも梅の花絶ゆることなく咲きわたるべし
0831: 春なればうべも咲きたる梅の花君を思ふと夜寐も寝なくに
0832: 梅の花折りてかざせる諸人は今日の間は楽しくあるべし
0833: 年のはに春の来らばかくしこそ梅をかざして楽しく飲まめ
0834: 梅の花今盛りなり百鳥の声の恋しき春来るらし
0835: 春さらば逢はむと思ひし梅の花今日の遊びに相見つるかも
0836: 梅の花手折りかざして遊べども飽き足らぬ日は今日にしありけり
0837: 春の野に鳴くや鴬なつけむと我が家の園に梅が花咲く
0838: 梅の花散り乱ひたる岡びには鴬鳴くも春かたまけて
0839: 春の野に霧立ちわたり降る雪と人の見るまで梅の花散る
0840: 春柳かづらに折りし梅の花誰れか浮かべし酒坏の上に
0841: 鴬の音聞くなへに梅の花我家の園に咲きて散る見ゆ
0842: 我がやどの梅の下枝に遊びつつ鴬鳴くも散らまく惜しみ
0843: 梅の花折りかざしつつ諸人の遊ぶを見れば都しぞ思ふ
0844: 妹が家に雪かも降ると見るまでにここだもまがふ梅の花かも
0845: 鴬の待ちかてにせし梅が花散らずありこそ思ふ子がため
0846: 霞立つ長き春日をかざせれどいやなつかしき梅の花かも
↑梅花の歌 32首 ここまで
0849: 残りたる雪に交れる梅の花早くな散りそ雪は消ぬとも
0850: 雪の色を奪ひて咲ける梅の花今盛りなり見む人もがも
0851: 我がやどに盛りに咲ける梅の花散るべくなりぬ見む人もがも
0852: 梅の花夢に語らくみやびたる花と我れ思ふ酒に浮かべこそ
0864: 後れ居て長恋せずは御園生の梅の花にもならましものを
0949: 梅柳過ぐらく惜しみ佐保の内に遊びしことを宮もとどろに
1011: 我が宿の梅咲きたりと告げ遣らば来と言ふに似たり散りぬともよし
1423: 去年の春いこじて植ゑし我がやどの若木の梅は花咲きにけり
1426: 我が背子に見せむと思ひし梅の花それとも見えず雪の降れれば
1434: 霜雪もいまだ過ぎねば思はぬに春日の里に梅の花見つ
1436: 含めりと言ひし梅が枝今朝降りし沫雪にあひて咲きぬらむかも
1437: 霞立つ春日の里の梅の花山のあらしに散りこすなゆめ
1438: 霞立つ春日の里の梅の花花に問はむと我が思はなくに
1445: 風交り雪は降るとも実にならぬ我家の梅を花に散らすな
1452: 闇ならばうべも来まさじ梅の花咲ける月夜に出でまさじとや
1640: 我が岡に盛りに咲ける梅の花残れる雪をまがへつるかも
1641: 淡雪に降らえて咲ける梅の花君がり遣らばよそへてむかも
1642: たな霧らひ雪も降らぬか梅の花咲かぬが代にそへてだに見む
1644: 引き攀ぢて折らば散るべみ梅の花袖に扱入れつ染まば染むとも
1645: 我が宿の冬木の上に降る雪を梅の花かとうち見つるかも
1647: 梅の花枝にか散ると見るまでに風に乱れて雪ぞ降り来る
1648: 十二月には淡雪降ると知らねかも梅の花咲くふふめらずして
1649: 今日降りし雪に競ひて我が宿の冬木の梅は花咲きにけり
1651: 淡雪のこのころ継ぎてかく降らば梅の初花散りか過ぎなむ
1652: 梅の花折りも折らずも見つれども今夜の花になほしかずけり
1653: 今のごと心を常に思へらばまづ咲く花の地に落ちめやも
1656: 酒杯に梅の花浮かべ思ふどち飲みての後は散りぬともよし
1660: 梅の花散らすあらしの音のみに聞きし我妹を見らくしよしも
1661: 久方の月夜を清み梅の花心開けて我が思へる君
1820: 梅の花咲ける岡辺に家居れば乏しくもあらず鴬の声
1833: 梅の花降り覆ふ雪を包み持ち君に見せむと取れば消につつ
1834: 梅の花咲き散り過ぎぬしかすがに白雪庭に降りしきりつつ
1840: 梅が枝に鳴きて移ろふ鴬の羽白妙に沫雪ぞ降る
1841: 山高み降り来る雪を梅の花散りかも来ると思ひつるかも
1842: 雪をおきて梅をな恋ひそあしひきの山片付きて家居せる君
1853: 梅の花取り持ち見れば我が宿の柳の眉し思ほゆるかも
1854: 鴬の木伝ふ梅のうつろへば桜の花の時かたまけぬ
1856: 我がかざす柳の糸を吹き乱る風にか妹が梅の散るらむ
1857: 年のはに梅は咲けどもうつせみの世の人我れし春なかりけり
1858: うつたへに鳥は食まねど縄延へて守らまく欲しき梅の花かも
1859: 馬並めて多賀の山辺を白栲ににほはしたるは梅の花かも
1862: 雪見ればいまだ冬なりしかすがに春霞立ち梅は散りつつ
1871: 春されば散らまく惜しき梅の花しましは咲かずふふみてもがも
1873: いつしかもこの夜の明けむ鴬の木伝ひ散らす梅の花見む
1883: ももしきの大宮人は暇あれや梅をかざしてここに集へる
1900: 梅の花咲き散る園に我れ行かむ君が使を片待ちがてり
1904: 梅の花しだり柳に折り交へ花に供へば君に逢はむかも
1906: 梅の花我れは散らさじあをによし奈良なる人も来つつ見るがね
1918: 梅の花散らす春雨いたく降る旅にや君が廬りせるらむ
1922: 梅の花咲きて散りなば我妹子を来むか来じかと我が松の木ぞ
2325: 誰が園の梅の花ぞもひさかたの清き月夜にここだ散りくる
2326: 梅の花まづ咲く枝を手折りてばつとと名付けてよそへてむかも
2327: 誰が園の梅にかありけむここだくも咲きてあるかも見が欲しまでに
2328: 来て見べき人もあらなくに我家なる梅の初花散りぬともよし
2329: 雪寒み咲きには咲かぬ梅の花よしこのころはかくてもあるがね
2330: 妹がためほつ枝の梅を手折るとは下枝の露に濡れにけるかも
2335: 咲き出照る梅の下枝に置く露の消ぬべく妹に恋ふるこのころ
2344: 梅の花それとも見えず降る雪のいちしろけむな間使遣らば
2349: 我が宿に咲きたる梅を月夜よみ宵々見せむ君をこそ待て
3901: み冬継ぎ春は来たれど梅の花君にしあらねば招く人もなし
3902: 梅の花み山としみにありともやかくのみ君は見れど飽かにせむ
3903: 春雨に萌えし柳か梅の花ともに後れぬ常の物かも
3904: 梅の花いつは折らじといとはねど咲きの盛りは惜しきものなり
3905: 遊ぶ内の楽しき庭に梅柳折りかざしてば思ひなみかも
3906: 御園生の百木の梅の散る花し天に飛び上がり雪と降りけむ
4041: 梅の花咲き散る園に我れ行かむ君が使を片待ちがてら
4134: 雪の上に照れる月夜に梅の花折りて送らむはしき子もがも
4174: 春のうちの楽しき終は梅の花手折り招きつつ遊ぶにあるべし
4238: 君が行きもし久にあらば梅柳誰れとともにか我がかづらかむ
4241: 春日野に斎く三諸の梅の花栄えてあり待て帰りくるまで
4277: 袖垂れていざ我が園に鴬の木伝ひ散らす梅の花見に
4278: あしひきの山下ひかげかづらける上にやさらに梅をしのはむ
4282: 言繁み相問はなくに梅の花雪にしをれてうつろはむかも
4283: 梅の花咲けるが中にふふめるは恋か隠れる雪を待つとか
4287: 鴬の鳴きし垣内ににほへりし梅この雪にうつろふらむか
4496: 恨めしく君はもあるか宿の梅の散り過ぐるまで見しめずありける
4497: 見むと言はば否と言はめや梅の花散り過ぐるまで君が来まさぬ
4500: 梅の花香をかぐはしみ遠けども心もしのに君をしぞ思ふ
4502: 梅の花咲き散る春の長き日を見れども飽かぬ礒にもあるかも