原文
足日木乃 夜麻之多日影 可豆良家流 宇倍尓也左良尓 梅乎之努波牟
作者
よみ
あしひきの、山下(やました)ひかげ、かづらける、上にやさらに、梅(うめ)をしのはむ
意味
山のひかげのかずらを髪飾りにして(この宴をたのしんで)います。その上、さらに梅(うめ)をたのしもうとおっしゃるのですか。(席を立たずに、ここにいて宴をたのしみましょう)
補足
この歌を含む4273番歌の題詞には、「廿五日(天平勝宝4年11月25日)新甞會(にひなへのまつり)の肆宴(しえん:朝廷で儀式のあとなどに行われる宴会)にして詔(みことのり)に應(こた)ふる歌六首」、とあります。
新甞會(にひなへのまつり)は、天皇が五穀(ごこく)の新穀を神に供えてその年の収穫を感謝するお祭りです。
この歌の左注には、「右の一首の歌は、右一首、少納言大伴宿祢家持(しょうなごんおおとものすくねやかもち)」、とあります。