あしひきの

「山」にかかる、というのは良く知られていますね。でも、どういう意味なのかは、以下のように色々な説があってよく分かりません。
- 大和の山々はなだらかで、すそ野の方まで稜線がすーっと引いているからという説。
- 山のすそ野ではいろいろなもの(燃料としての落ち葉、食用の植物など)が採れるからという説。「引く」という言葉には、「色々なものを与える」という意味もありますね。
- 山を行き来するのに、足を引きずって歩くことから来ているという説。
- 足疾」、「足病」の書き方があるところから、足に欠陥がある山の神との関わりから来ているという説。(山の神には、一本足のものが居るという話があるそうです。)
「あしひきの」を詠んだ歌
たくさんありますね。
0107: あしひきの山のしづくに妹待つと我れ立ち濡れぬ山のしづくに
0108: 我を待つと君が濡れけむあしひきの山のしづくにならましものを
0267: むささびは木末求むとあしひきの山のさつ男にあひにけるかも
0414: あしひきの岩根こごしみ菅の根を引かばかたみと標のみぞ結ふ
0460: 栲づのの新羅の国ゆ人言をよしと聞かして.......(長歌)
0466: 我がやどに花ぞ咲きたるそを見れど心もゆかず.......(長歌)
0477: あしひきの山さへ光り咲く花の散りぬるごとき我が大君かも
0580: あしひきの山に生ひたる菅の根のねもころ見まく欲しき君かも
0669: あしひきの山橘の色に出でよ語らひ継ぎて逢ふこともあらむ
0670: 月読の光りに来ませあしひきの山きへなりて遠からなくに
0721: あしひきの山にしをれば風流なみ我がするわざをとがめたまふな
0920: あしひきのみ山もさやに落ちたぎつ吉野の川の.......(長歌)
0927: あしひきの山にも野にも御狩人さつ矢手挾み騒きてあり見ゆ
1088: あしひきの山川の瀬の鳴るなへに弓月が岳に雲立ちわたる
1242: あしひきの山行き暮らし宿借らば妹立ち待ちてやど貸さむかも
1262: あしひきの山椿咲く八つ峰越え鹿待つ君が斎ひ妻かも
1340: 紫の糸をぞ我が搓るあしひきの山橘を貫かむと思ひて
1415: 玉梓の妹は玉かもあしひきの清き山辺に撒けば散りぬる
1416: 玉梓の妹は花かもあしひきのこの山蔭に撒けば失せぬる
1425: あしひきの山桜花日並べてかく咲きたらばいたく恋ひめやも
1469: あしひきの山霍公鳥汝が鳴けば家なる妹し常に偲はゆ
1495: あしひきの木の間立ち潜く霍公鳥かく聞きそめて後恋ひむかも
1587: あしひきの山の黄葉今夜もか浮かび行くらむ山川の瀬に
1603: このころの朝明に聞けばあしひきの山呼び響めさを鹿鳴くも
1611: あしひきの山下響め鳴く鹿の言ともしかも我が心夫
1629: ねもころに物を思へば言はむすべ為むすべもなし.......(長歌)
1632: あしひきの山辺に居りて秋風の日に異に吹けば妹をしぞ思ふ
1761: 三諸の神奈備山にたち向ふ御垣の山に秋萩の.......(長歌)
1762: 明日の宵逢はざらめやもあしひきの山彦響め呼びたて鳴くも
1806: あしひきの荒山中に送り置きて帰らふ見れば心苦しも
1824: 冬こもり春さり来ればあしひきの山にも野にも鴬鳴くも
1842: 雪をおきて梅をな恋ひそあしひきの山片付きて家居せる君
1864: あしひきの山の際照らす桜花この春雨に散りゆかむかも
1940: 朝霞たなびく野辺にあしひきの山霍公鳥いつか来鳴かむ
2148: あしひきの山より来せばさを鹿の妻呼ぶ声を聞かましものを
2156: あしひきの山の常蔭に鳴く鹿の声聞かすやも山田守らす子
2200: 九月の白露負ひてあしひきの山のもみたむ見まくしもよし
2219: あしひきの山田作る子秀でずとも縄だに延へよ守ると知るがね
2296: あしひきの山さな葛もみつまで妹に逢はずや我が恋ひ居らむ
2313: あしひきの山かも高き巻向の崖の小松にみ雪降りくる
2315: あしひきの山道も知らず白橿の枝もとををに雪の降れれば
2324: あしひきの山に白きは我が宿に昨日の夕降りし雪かも
2350: あしひきの山のあらしは吹かねども君なき宵はかねて寒しも
2477: あしひきの名負ふ山菅押し伏せて君し結ばば逢はずあらめやも
2617: あしひきの山桜戸を開け置きて我が待つ君を誰れか留むる
2649: あしひきの山田守る翁が置く鹿火の下焦れのみ我が恋ひ居らむ
2679: 窓越しに月おし照りてあしひきのあらし吹く夜は君をしぞ思ふ
2694: あしひきの山鳥の尾の一峰越え一目見し子に恋ふべきものか
2704: あしひきの山下響み行く水の時ともなくも恋ひわたるかも
2760: あしひきの山沢ゑぐを摘みに行かむ日だにも逢はせ母は責むとも
2767: あしひきの山橘の色に出でて我は恋なむを人目難みすな
2802: 思へども思ひもかねつあしひきの山鳥の尾の長きこの夜を
3002: あしひきの山より出づる月待つと人には言ひて妹待つ我れを
3008: あしひきの山を木高み夕月をいつかと君を待つが苦しさ
3017: あしひきの山川水の音に出でず人の子ゆゑに恋ひわたるかも
3051: あしひきの山菅の根のねもころに我れはぞ恋ふる君が姿を
3053: あしひきの山菅の根のねもころにやまず思はば妹に逢はむかも
3189: あしひきの山は百重に隠すとも妹は忘れじ直に逢ふまでに
3210: あしひきの片山雉立ち行かむ君に後れてうつしけめやも
3276: 百足らず山田の道を波雲の愛し妻と語らはず.......(長歌)
3335: 玉桙の道行く人はあしひきの山行き野行き.......(長歌)
3338: あしひきの山道は行かむ風吹けば波の塞ふる海道は行かじ
3339: 玉桙の道に出で立ちあしひきの野行き山行き.......(長歌)
3462: あしひきの山沢人の人さはにまなと言ふ子があやに愛しさ
3573: あしひきの山かづらかげましばにも得がたきかげを置きや枯らさむ
3655: 今よりは秋づきぬらしあしひきの山松蔭にひぐらし鳴きぬ
3680: 夜を長み寐の寝らえぬにあしひきの山彦響めさを鹿鳴くも
3687: あしひきの山飛び越ゆる鴈がねは都に行かば妹に逢ひて来ね
3700: あしひきの山下光る黄葉の散りの乱ひは今日にもあるかも
3723: あしひきの山道越えむとする君を心に持ちて安けくもなし
3789: あしひきの山縵の子今日行くと我れに告げせば帰り来ましを
3790: あしひきの玉縵の子今日のごといづれの隈を見つつ来にけむ
3885: いとこ汝背の君居り居りて物にい行くとは.......(長歌)
3886: おしてるや難波の小江に廬作り隠りて居る.......(長歌)
3911: あしひきの山辺に居れば霍公鳥木の間立ち潜き鳴かぬ日はなし
3915: あしひきの山谷越えて野づかさに今は鳴くらむ鴬の声
3957: 天離る鄙治めにと大君の任けのまにまに.......(長歌)
3962: 大君の任けのまにまに大夫の心振り起し.......(長歌)
3969: 大君の任けのまにまにしなざかる越を治めに.......(長歌)
3970: あしひきの山桜花一目だに君とし見てば我れ恋ひめやも
3978: 妹も我れも心は同じたぐへれどいやなつかしく.......(長歌)
3981: あしひきの山きへなりて遠けども心し行けば夢に見えけり
3983: あしひきの山も近きを霍公鳥月立つまでに何か来鳴かぬ
3993: 藤波は咲きて散りにき卯の花は今ぞ盛りと.......(長歌)
4011: 大君の遠の朝廷ぞみ雪降る越と名に追へる天離る.......(長歌)
4076: あしひきの山はなくもが月見れば同じき里を心隔てつ
4111: かけまくもあやに畏し天皇の神の大御代に田道間守.......(長歌)
4122: 天皇の敷きます国の天の下四方の道には馬の爪.......(長歌)
4136: あしひきの山の木末のほよ取りてかざしつらくは千年寿くとぞ
4149: あしひきの八つ峰の雉鳴き響む朝明の霞見れば悲しも
4151: 今日のためと思ひて標しあしひきの峰の上の桜かく咲きにけり
4154: あしひきの山坂越えて行きかはる.......(長歌)
4156: あらたまの年行きかはり春されば花のみ.......(長歌)
4160: 天地の遠き初めよ世間は常なきものと.......(長歌)
4166: 時ごとにいやめづらしく八千種に草木花咲き.......(長歌)
4169: 霍公鳥来鳴く五月に咲きにほふ花橘の.......(長歌)
4180: 春過ぎて夏来向へばあしひきの山呼び響め.......(長歌)
4203: 家に行きて何を語らむあしひきの山霍公鳥一声も鳴け
4214: 天地の初めの時ゆうつそみの八十伴の男は.......(長歌)
4225: あしひきの山の紅葉にしづくあひて散らむ山道を君が越えまく
4266: あしひきの八つ峰の上の栂の木のいや継ぎ継ぎに.......(長歌)
4278: あしひきの山下ひかげかづらける上にやさらに梅をしのはむ
4293: あしひきの山行きしかば山人の我れに得しめし山づとぞこれ
4294: あしひきの山に行きけむ山人の心も知らず山人や誰れ
4471: 消残りの雪にあへ照るあしひきの山橘をつとに摘み来な
4481: あしひきの八つ峰の椿つらつらに見とも飽かめや植ゑてける君
4484: 咲く花は移ろふ時ありあしひきの山菅の根し長くはありけり
