原文
白珠者 人尓不所知 不知友縦 雖不知 吾之知有者 不知友任意
作者
元興寺(がんごうじ)の僧
よみ
白玉(しらたま)は、人に知らえず、知らずともよし、知らずとも、我れし知れらば、知らずともよし
意味
真珠の本当の価値は人にはわかりません。わからなくてもよいのです。人がわからなくとも、私自身が(自分の価値を)知っていれば良いのです。(人になんか)知られなくても良いのです。
補足
この歌の題詞には、「(天平)十年()戊寅元、元興寺(がんごうじ)の僧、自らを嘆く歌一首。」とあります。
この歌の左注には、「右の一首、元興寺の僧、獨覺(どくかく:一人で修行すること)で智(さとり)多いものが居ました。 未だに顯聞(けんぶん:広く知れわたること)が無かったので 、衆諸(もろひと:人々)は侮っていました。そこで此の僧が此の歌を作り、自(みずか)らの身の才を嘆いたといいます。」とあります。
写真は、奈良市の元興寺跡です。