白玉(しらたま)
きれいな白い丸い石や真珠を意味します。特に真珠は、海の奥深くにあるので貴重なものと考えられていました。真珠のことを「あわび玉」とも呼んでいました。
白玉(しらたま)を詠んだ歌
万葉集には、27首に登場します。尊いもの、かけがえのない人として詠まれています。なお、ここでは、真珠を「玉」、「あわび玉」などと詠んでいる歌も少しですが紹介しています。また、「露の白玉」と、丸い露のことを「白玉」と呼ぶ例もありますが、それは白露を参照してください。
0904: 世間の貴び願ふ七種の宝も我れは何せむに.......(長歌)
1018: 白玉は人に知らえず知らずともよし知らずとも我れし知れらば知らずともよし
1203: 礒の上に爪木折り焚き汝がためと我が潜き来し沖つ白玉
1299: あぢ群のとをよる海に舟浮けて白玉採ると人に知らゆな
1300: をちこちの礒の中なる白玉を人に知らえず見むよしもがも
1301: 海神の手に巻き持てる玉故に礒の浦廻に潜きするかも
1302: 海神の持てる白玉見まく欲り千たびぞ告りし潜きする海人
1317: 海の底沈く白玉風吹きて海は荒るとも取らずはやまじ
1318: 底清み沈ける玉を見まく欲り千たびぞ告りし潜きする海人
1320: 水底に沈く白玉誰が故に心尽して我が思はなくに
1321: 世間は常かくのみか結びてし白玉の緒の絶ゆらく思へば
1322: 伊勢の海の海人の島津が鰒玉採りて後もか恋の繁けむ
1323: 海の底沖つ白玉よしをなみ常かくのみや恋ひわたりなむ
1325: 白玉を手には巻かずに箱のみに置けりし人ぞ玉嘆かする
1326: 照左豆が手に巻き古す玉もがもその緒は替へて我が玉にせむ
1327: 秋風は継ぎてな吹きそ海の底沖なる玉を手に巻くまでに
1665: 妹がため我れ玉拾ふ沖辺なる玉寄せ持ち来沖つ白波
1667: 妹がため我れ玉求む沖辺なる白玉寄せ来沖つ白波
1792: 白玉の人のその名をなかなかに言を下延へ.......(長歌)
2012: 白玉の五百つ集ひを解きもみず我は干しかてぬ逢はむ日待つに
2445: 近江の海沈く白玉知らずして恋ひせしよりは今こそまされ
2446: 白玉を巻きてぞ持てる今よりは我が玉にせむ知れる時だに
2447: 白玉を手に巻きしより忘れじと思ひけらくは何か終らむ
2448: 白玉の間開けつつ貫ける緒もくくり寄すれば後もあふものを
3318: 紀の国の浜に寄るといふ鰒玉拾はむと言ひて.......(長歌)
3614: 帰るさに妹に見せむにわたつみの沖つ白玉拾ひて行かな
3628: 玉の浦の沖つ白玉拾へれどまたぞ置きつる見る人をなみ
3814: 白玉は緒絶えしにきと聞きしゆゑにその緒また貫き我が玉にせむ
3815: 白玉の緒絶えはまことしかれどもその緒また貫き人持ち去にけり
4102: 白玉を包みて遣らばあやめぐさ花橘にあへも貫くがね
4103: 沖つ島い行き渡りて潜くちふ鰒玉もが包みて遣らむ
4104: 我妹子が心なぐさに遣らむため沖つ島なる白玉もがも
4105: 白玉の五百つ集ひを手にむすびおこせむ海人はむがしくもあるか
4169: 霍公鳥来鳴く五月に咲きにほふ花橘の.......(長歌)
4170: 白玉の見が欲し君を見ず久に鄙にし居れば生けるともなし
4340: 父母え斎ひて待たね筑紫なる水漬く白玉取りて来までに
4415: 白玉を手に取り持して見るのすも家なる妹をまた見てももや