第六巻 : 後れにし人を思はく思泥の崎

2009年12月27日(日)更新


原文: 後尓之 人乎思久 四泥能埼 木綿取之泥而 好住跡其念

作者: 丹比屋主(たじひのやぬし)

よみ: 後(おく)れにし、人を思はく、四泥(しで)の崎、木綿(ゆふ)取り垂(し)でて、幸(さき)くとぞ思ふ

意味: 残してきた人のことを思って、四泥(しで)の崎で、木綿(ゆふ)をさげて無事を祈ります。

天平12年(740)10月に藤原廣嗣(ひろつぐ)が九州で謀反を起こした時、聖武天皇が伊勢の国に行幸し、河口の仮宮に10日間滞在しました。そのとき、同行した丹比屋主(たじひのやぬし)が詠んだ歌とされています。ただし、注意書きには、「丹比屋主(たじひのやぬし)は、河口の仮宮から都に帰ったので、四泥(しで)の崎で歌を詠んだはずはない。」と書かれています。

撮影 by きょう

第六巻