原文
久堅乃 雨者零敷 念子之 屋戸尓今夜者 明而将去
作者
よみ
ひさかたの、雨(あめ)は降りしけ、思ふ子が、やどに今夜(こよひ)は、明かして行かむ
意味
雨(あめ)よ降ればいい、親しく思っている方の家に今夜はすごしていこう。
「ひさかたの」は、天(あめ)、雨(あめ)、月(つき)など、空(そら)に関する言葉を導く枕詞(まくらことば)です。
補足
この歌の題詞には、「安積親王(あさかのみこ)が左少辨(さしょうべん)藤原八束朝臣(ふじわらのやつかあそん)の家で宴をひらいた日に、内舎人(うどねり)大伴宿祢家持(おおとものすくねやかもち)が作った歌一首」とあります。
安積親王(あさかのみこ)は、聖武天皇(しょうむてんのう)の皇子(みこ)です。