原文: 左耳通良布 君之三言等 玉梓乃 使毛不来者 憶病 吾身一曽 千磐破 神尓毛莫負 卜部座 龜毛莫焼曽 戀之久尓 痛吾身曽 伊知白苦 身尓染登保里 村肝乃 心砕而 将死命 尓波可尓成奴 今更 君可吾乎喚 足千根乃 母之御事歟 百不足 八十乃衢尓 夕占尓毛 卜尓毛曽問 應死吾之故
作者: 車持娘子(くるまもちのおとめ)
よみ: さ丹(に)つらふ君がみ言と、玉梓(たまづさ)の使(つかひ)も来ねば、思ひ病む我が身ひとつぞ、
ちはやぶる神にもな負(お)ほせ、占部(うらべ)据(す)ゑ、亀(かめ)もな焼きそ、
恋ひしくに、痛き我が身ぞ、いちしろく、身にしみ通り、むらきもの心砕けて死なむ命、にはかになりぬ、
今さらに君か我を呼ぶ、たらちねの母のみ言か、百(もも)足らず八十(やそ)の衢(ちまた)に、夕占(ゆふけ)にも占(うら)にもぞ問ふ、
死ぬべき我がゆゑ
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