第十六巻 : 醤酢に蒜搗きかてて鯛願ふ

2001年11月4日(日)更新


原文: 醤酢尓 蒜都伎合而 鯛願 吾尓勿所見 水ク乃煮物

作者: 長意吉麻呂(ながのおきまろ)

よみ: 醤酢(ひしほす)に、蒜(ひる)搗(つ)きかてて、鯛(たい)願ふ、我れにな見えそ、水葱(なぎ)の羹(あつもの)

意味: 醤(ひしほ)と酢(す)をまぜたものに蒜(ひる)をつぶして鯛(たい)を食べたい。水葱(なぎ)の羹(あつもの)なんかはいらない。

醤(ひしほ)は、豆・麦・こうじ・塩などから作られ、今の醤油(しょうゆ)のようなものです。蒜(ひる)は、ニンニクなどのネギ類のことです。水葱(なぎ)は、水葵(みずあおい)のことです。羹(あつもの)は、お吸い物のことです。

具満タン7(日本絵巻)より

この歌は、この歌の題詞にあるように「酢(す)・醤(ひしほ)・蒜(ひる)・鯛(たい)・水葱(なぎ)」を詠み込んだ歌として詠まれたものですので、歌そのものに、さほど意味があるわけではないようです。


第十六巻