原文

赤駒 厩立 黒駒 厩立而 彼乎飼 吾徃如 思妻 心乗而 高山 峯之手折丹 射目立 十六待如 床敷而 吾待君 犬莫吠行年

作者

不明

よみ

赤駒(あかごま)を 馬屋(うまや)に立て 黒駒(くろこま)を 馬屋に立てて そを飼ひ 我が行くがごと 思ひ妻 心に乗りて 高山の 嶺(みね)のたをりに 射目(いめ)立てて 鹿猪(しし)待つがごと 床(とこ)敷きて 我が待つ君を 犬(いぬ)な吠えそね

意味

馬 by 写真AC

赤駒(あかごま)を馬屋(うまや)に立たせて、黒駒(くろこま)を馬屋に立たせて、それを飼って私が馬に乗って行くように、私が想う妻が私の心に乗っています。高い山の峰の鞍部(あんぶ:くぼんだところ)に射目(いめ)を設けて獣を待つように、床を敷いて私が待っているあの人を、犬(いぬ)よ吠えたりしないで。

- rough meaning: (Man)My wife rides on my heart, just as I am riding on the horse which I let the red horse and blacke horse stand in a horse hut and I raise them. (Woman) I'm waiting for him with laying a bed, just like I'm waiting for the beast at the hunting blind on the saddle of the high mountain peak. So don't bark him, dog.

補足

・「射目」は、獲物を射るのに身を隠すために作ったものをいいます。

・広くは、この歌の前半は男性の気持ちを、後半が女性の気持ちを詠んだものと解釈されています。

更新日: 2020年11月15日(日)