原文

物乃部能 八十氏河乃 阿白木尓 不知代經浪乃 去邊白不母

作者

柿本人麻呂(かきのもとのひとまろ)

よみ

宇治川 撮影(2016.11) by きょう

もののふの、八十(やそ)宇治川(うぢかは)の、網代木(あじろき)に、いさよふ波の、ゆくへ知らずも

意味

宇治川(うぢかは)の網代木(あじろき)に滞る波はどこへゆくのでしょうか。

「もののふの八十(やそ)」は、氏(うじ)を導き、そこから「宇治」を引き出しています。

宇治川 撮影(2016.11) by きょう

魚を捕るための竹や木で作った仕掛けのことを網代(あじろ)といい、その網代(あじろ)を固定するための木の杭のことを網代木(あじろき)といいます。

「あじろきの道」: 宇治川(うじがわ)は、昔、網代(あじろ)を利用した漁法が盛んだったようで、宇治市にはその名を付けた散策道があります。

補足

・この歌の題詞には、「柿本朝臣人麻呂(かきのもとのあそんひとまろ)、近江國(おおみのくに)より上り来たる時、宇治河(うぢかは)の邊(へ)に至りて作る歌一首」とあります。

更新日: 2017年05月07日(日)