第三巻 : いにしへに梁打つ人のなかりせば

2009年05月24日(日)更新


原文: 古尓 ■打人乃 無有世伐 此間毛有益 柘之枝羽裳

作者: 若宮年魚麻呂(わかみやのあゆまろ)

よみ: いにしへに、梁(やな)打つ人の、なかりせば、ここにもあらまし、柘(つみ)の枝はも

意味: 昔、梁(やな)をかける人がいなかったら、柘(つみ)の枝は(いまも)ここにあるでしょう。

「梁(やな)」は、魚を捕(と)るために川に作るしかけのことです。

山野の桑 撮影(2009.05) by きょう

この歌を詠む元になったお話があります。「吉野の味稲(うましね)という人が吉野川で梁(やな)にかかった柘(つみ)の枝を家に持って帰ったところ、それが美女に変身したので、妻にしましたが、その後、天に昇っていった。」というものです。


第三巻