原文
千磐破 神之社四 無有世伐 春日之野邊 粟種益乎
作者
娘子(をとめ): 名はわかっていません
よみ
ちはやぶる 神の社(やしろ)し なかりせば 春日(かすが)の野辺(のへ)に 粟(あは)蒔(ま)かましを
意味
あの荒ぶる神様の社さえなければ、春日の野辺に粟(あは)の種を蒔きますのに。(あの怖い奥様がいらっしゃらなければ、お逢いしますのに。お断りいたしますわ。)
・神の社(やしろ)は春日大社のこととされています。
・「粟(あは)蒔(ま)く」は「逢(あ)はまく」にかけています。
- rough meaning: If were not Kasuga shrine of wild god, you will sow some seeds of Foxtail millet in Kasuga's field.(If scary wife of you weren't around, I want to meet you. Sorry, I can't do it.)
補足
・この歌の題詞には「娘子(をとめ)、佐伯宿祢赤麻呂(さへきのすくねあかまろ)の贈る歌に報(こた)ふる一首」とあります。佐伯宿祢赤麻呂(さへきのすくねあかまろ)が娘子(をとめ)に贈った歌(ただし万葉集には載っていません)に、娘子が答えた歌です。