原文
水乎多 上尓種蒔 比要乎多 擇擢之業曽 吾獨宿
作者
不明
よみ
水を多み 上田(あげ)に種(たね)蒔(ま)き 稗(ひえ)を多み 選(え)らえし業(わざ)ぞ 我(わ)がひとり寝る
意味
(上田でない田)は水が多いので、上田に稲(いね)の種を蒔きましたが、稗(ひえ)が多いので抜き捨てられたように選ばれなかった私はひとり寝ています。
・恋人として選ばれなかったことを、水田から抜き取られる稗に喩えて詠んでいます。
- rough meaning: Since there is a lot of water in the bad rice fields, I sowed rice seeds in the good rice fields, but like Hie which are abandoned because there are too many, I was not chosen as a lover and I am sleeping alone.
補足
・「物に寄せて思ひを陳(の)ぶ」歌のひとつです。
・田の良しあしを示すものとして「上田(あげた)・中田・下田(くぼた)」の等級がありました。(もっと細かい区分については省略させていただきます)