原文
阿良例布理 可志麻能可美乎 伊能利都々 須米良美久佐尓 和例波伎尓之乎
作者
大舎人部千文(おおとねりべのちふみ)
よみ
霰(あられ)降り、鹿島(かしま)の神を、祈りつつ、皇御軍(すめらみくさ)に、我れは来(き)にしを
意味
鹿島(かしま)の神を祈って、皇軍の兵として私はやってきたのです。
「霰(あられ)降り」は、鹿島(かしま)を導く枕詞(まくらことば)です。
「鹿島(かしま)の神」は、鹿島神宮に祭られている武甕槌神(たけみかづち)で、武神として崇拝されてきました。
補足
この歌を含む4321番歌の題詞には、「天平勝寳七歳(西暦755年)二月、相替(あいかわ)りて筑紫に遣わされる諸國の防人(さきもり)たちの歌」、とあります。
この歌の左注には、「右二首、那賀郡(なかぐん)上丁(じょうてい)大舎人部千文(おおとねりべのちふみ)」、とあります。