原文
青駒之 足掻乎速 雲居曽 妹之當乎 過而来計類 [一云 當者隠来計留]
作者
よみ
青駒(あをこま)が、足掻(あがき)きを速み、雲居(くもゐ)にぞ、妹(いも)があたりを、過ぎて来にける [一云 あたりは隠(かく)り来にける]
意味
青駒(あおこま)の歩みが速いので、遠い雲(くも)のかなたに、妻のところを過ぎて来てしまいました。[(一つには) 妻のところは見えなくなってしまいました]
柿本人麻呂(かきのもとのひとまろ)が石見国(いわみのくに:現在の島根県西部地方)から都に戻るときに、妻を想って詠んだ歌です。
この歌の「妹(いも)」は、柿本人麻呂(かきのもとのひとまろ)が石見国に滞在しているときに通っていた女性を指しますが、依羅娘子(よさみのおとめ)とされています。
補足
この歌は「柿本朝臣人麻呂(かきのもとのあそんひとまろ)が詠んだ135番歌(長歌)の反歌二首のひとつです。