原文
明日香川 四我良美渡之 塞益者 進留水母 能杼尓賀有萬思 [一云 水乃与杼尓加有益]
作者
よみ
明日香川(あすかがわ)、しがらみ渡し、塞(せ)かませば、流るる水も、のどにかあらまし [一に云う 水の淀(よど)にかあらまし]
意味
明日香川に堰(せき)を作って止めたら、流れる水も緩やかになるだろうに。
明日香皇女(あすかのひめみこ)が亡くなられたときに、柿本人麻呂が詠んだ歌です。明日香川を堰き止めたら、明日香皇女(あすかのひめみこ)もこんなに急にはなくならなったかもしれない、という思いが込められているのかもしれません。
補足
この歌を含む長歌の題詞には「明日香皇女(あすかのひめみこ)の城上(きのへ)の殯宮(あらきのみや)の時、柿本朝臣人麻呂(かきのもとのあそんひとまろ)作る歌一首 ならびに短歌」とあります。この歌は、その短歌にあたります。