原文
安夫良火乃 比可里尓見由流 和我可豆良 佐由利能波奈能 恵麻波之伎香母
作者
よみ
油火の、光りに見ゆる、吾がかづら、さ百合の花の、笑(ゑ)まはしきかも
意味
私がつけた百合の髪飾り(花飾り)が油火の光りに輝いていて、とても微笑ましいことですね。
・越中(えっちゅう)の秦伊美吉石竹(はたのいみきいはたけ)の館で行われた宴会の席で、石竹(いはたけ)が大伴家持たちに、百合で作った髪飾り(花飾り)を三つ贈りました。このときに大伴家持が百合の髪飾りをつけてみて詠んだ歌です。
- rough meaning: The lily (hair) ornament that I put on is shining in the light of the oil fire, which makes us smile and happy.
補足
この歌の題詞には「同月(天平感寶元年五月:西暦749年)九日、諸僚(しょりょう:役人らを指す)少目(しょうさかん:役職のひとつ)秦伊美吉石竹(はたのいみきいはたけ)の舘に會(あ)ひて飲宴す。ここに主人(あるじ)白合の花縵(はなかづら)三枚を造り、豆器(とうき:食器の一種)に疊(かさ)ね置き賓客(ひんきゃく)に捧(ささ)げ贈る。各(おのおの)この縵を賦(ふ)して作る三首」とあります。また、この歌の左注には「右一首守大伴宿祢家持」とあります。