原文

等毛之火能 比可里尓見由流 左由理婆奈 由利毛安波牟等 於母比曽米弖伎

作者

内蔵縄麻呂(くらのなわまろ)

よみ

灯火(ともしび)の、光りに見ゆる、さ百合花、ゆりも逢はむと、思ひそめてき

意味

百合 by 写真AC

灯火(ともしび)に見えている百合の花、というように、また後(のち)にもお会いしたいと思いはじめました。

百合(ゆり)で「後(のち)、将来」という意味の「後(ゆり)」を導いています。

・越中(えっちゅう)の秦伊美吉石竹(はたのいみきいはたけ)の館で行われた宴会の席で、石竹(いはたけ)が大伴家持たちに、百合で作った髪飾りを三つ贈りました。このときに内蔵縄麻呂(くらのなわまろ)が詠んだ歌です。

- rough meaning: I started thinking that I would like to see you later(Yuri in Japanese old language), like a lily(Yuri in Japanese) flower shining in the light.

補足

この歌の題詞には「同月(天平感寶元年五月:西暦749年)九日、諸僚(しょりょう:役人らを指す)少目(しょうさかん:役職のひとつ)秦伊美吉石竹(はたのいみきいはたけ)の舘に會(あ)ひて飲宴す。ここに主人(あるじ)白合の花縵(はなかづら)三枚を造り、豆器(とうき:食器の一種)に疊(かさ)ね置き賓客(ひんきゃく)に捧(ささ)げ贈る。各(おのおの)この縵を賦(ふ)して作る三首」とあります。また、この歌の左注には「右一首守大伴宿祢家持」とあります。

更新日: 2020年06月10日(水)