原文
由布佐礼婆 比具良之伎奈久 伊故麻山 古延弖曽安我久流 伊毛我目乎保里
作者
遣新羅使(けんしらぎし)の秦間満(はたのはしまろ)
よみ
夕されば ひぐらし来(き)鳴く 生駒山(いこまやま) 越えてぞ我(あ)が来る 妹(いも)が目を欲(ほ)り
意味
ac夕方になるとひぐらしが来て鳴く生駒山(いこまやま)を越えて私は帰ってくるのです。妻に一目会いたくて。
- rough meaning: I'm coming back home over Mt.Ikoma where Higurashi(a kind of cicada) come and sing in the evening. I want to see my wife even at a glance.
補足
・この歌を含む3578番歌の題詞には、「新羅(しらぎ)に遣はさるる使人等、別れを悲しみて贈答し、また海路に情(こころ)を慟(いた)め思ひを陳(の)ぺ并(あは)せて所に當たりて誦(うた)ふ古歌」とあります。
・この歌の左注には「右一首秦間満(はたのはしまろ)」とあります。天平8年(西暦736年)に新羅(しらぎ)に遣わされた遣新羅使(けんしらぎし)たちの内のひとり、秦間満(はたのはしまろ)が詠んだ歌です。