原文
蒸被 奈胡也我下丹 雖臥 与妹不宿者 肌之寒霜
作者
京職藤原大夫(きょうしきふじわらのたいふ)
よみ
むし衾(ふすま) なごやが下に 伏(ふ)せれども 妹(いも)とし寝(ね)ねば 肌(はだ)し寒(さむ)しも
Mushi-Fusuma, Nagoya ga shita ni, Fusere domo, Imo toshi Nene ba, Hada shi Samushi mo.
意味
柔らかなむしぶすまを掛けて寝ても、あなたが居ないと心も肌も寒いのですよ。
・「むし衾(ふすま)」は蒸(むし)から作った繊維で作った寝具です。暖かくて寝心地も良かったのでしょうが、やはり恋しい人がいないと。
・京職大夫(きょうしきたいふ:京の行政機関の長)であった藤原麿(ふじわらのまろ藤原不比等の四男)が大伴郎女(おおとものいらつめ)に贈った三首の歌の一つです。
- rough meaning: Even if I sleep under a soft Mushi-Busuma(Bedding made of ramie fiber cloth), my heart and skin feel cold without you.
補足
・この歌を含む0522番歌の題詞に、「京職(きょうしき)藤原大夫(ふじわらのたいふ)、大伴郎女(おおとものいらつめ)に贈る歌三首 [卿(きょう)、諱(いみな:実名)を麻呂(まろ)と曰ふ也]」とあります。