原文
赤駒之 越馬柵乃 緘結師 妹情者 疑毛奈思
作者
よみ
赤駒(あかごま)の、越(こ)ゆる馬柵(うませ)の、標(しめ)結(ゆ)ひし、妹(いも)が心は、疑(うたが)ひもなし
意味
赤駒が飛び越えてしまう柵を結ぶように、私が標(しめ)を結んだあなたの心を疑うことはないのです。
この歌の題詞には「天皇、海上女王(うなかみのおおきみ)に賜(たま)う御歌一首 [寧樂宮(ならのみや)に即位したまう天皇也]」とあります。聖武天皇(しょうむてんのう)が海上女王(うなかみのおおきみ)に贈った歌ということですね。
海上女王は志貴皇子(しきのみこ)の娘さんだそうです。
補足
この歌の左注には「右、今、案(かむが)ふるに(考えるに) 此歌は擬古(ぎこ:古い時代のもの)之(の)作也 但し時の當たれるを以て、便(すなは)ち斯(この)歌を賜うか」とあります。この歌は古くから知られていた歌ですが、その場の雰囲気に合っていたので贈られたのでしょうね。