原文
萱草 吾下紐尓 著有跡 鬼乃志許草 事二思安利家理
作者
よみ
忘れ草、我が下紐(したひも)に、付けたれど、醜(しこ)の醜草(しこくさ)、言(こと)にしありけり
意味
忘れ草を下着の紐につけたけれど、忘れ草とは名ばかりで、ひどい草です。(少しもあなたのことを忘れられないのです。)
大伴家持(おおとものやかもち)が従妹(いとこ)の大伴坂上大嬢(おおとものさかのうえのおおいらつめ)に贈った歌のひとつです。
「忘れ草を持っていると、辛いことを忘れることができる」という言い伝えがあったそうです。
補足
この歌の題詞には「大伴宿祢家持、坂上家の大嬢(だいじょう)に贈る歌二首 [離絶(りぜつ)數年、復(また)會(あ)いて相聞(そうもん)徃来(おうらい)す]」とあります。