原文
事不問 木尚味狭藍 諸弟等之 練乃村戸二 所詐来
作者
よみ
言(こと)問わぬ、木すら紫陽花(あじさゐ)、諸弟(もろえ)らが、練(ねり)の村戸(むらと)にあざむかえけり
意味
ものを言わない木でさえ、紫陽花(あじさい)のように移りやすいものがあります。(言葉をあやつる)諸弟(もろえ)たちの言葉にすっかりだまされてしまいました。
・大伴家持(おおとものやかもち)が坂上大嬢(おおとものさかのうえのおおをとめ)に贈った歌の一つです。
・諸弟(もろえ)は人名とも考えられていますが、はっきりとはしていないようです。また、練(ねり)の村戸(むらと)についても、解釈がはっきりしていません。
- rough meaning: Even Hydrangea flowers that do not speak words change color. I was completely deceived by your words that skillfully manipulate words.
補足
・この歌を含む、0770番歌の題詞に「大伴宿祢家持(おおとものすくねやかもち)、久邇京(くにのみやこ)より坂上大嬢(おおとものさかのうえのおおをとめ)に贈る歌五首」とあります。
後に、大伴家持は坂上大嬢を妻にすることになります。