原文 Original Text

級照 片足羽河之 左丹塗 大橋之上従 紅 赤裳數十引 山藍用 揩衣服而 直獨 伊渡為兒者 若草乃 夫香有良武 橿實之 獨歟将宿 問巻乃 欲我妹之 家乃不知久

作者 Author

高橋連蟲麻呂(たかはしのむらじむしまろ)歌集より From Takahashi-no-Muraji-Mushimaro Poetry Collection

よみ Reading

しな照る 片足羽川(かたしはがは)の さ丹(に)塗りの 大橋の上ゆ 紅(くれなゐ)の 赤裳(あかも)裾(すそ)引き 山藍(やまあゐ)もち 摺(す)れる衣(きぬ)着て ただ独(ひと)り い渡らす子は 若草の 夫(つま)かあるらむ 橿(かし)の実の 独(ひと)りか寝らむ 問はまくの 欲しき我妹(わぎも)が 家の知らなく

- Shina-deru Katashiha-gawa no Sa-ninurino Ohohashi no ue yu Kurenawi no Akamo suso-biki Yamaai mochi Sureru kinu kite Tada hitori I-watasu ko ha Wakakusa no Tsuma ka aruramu Kashi no mi no Hitori ka nuramu Tohamaku no Hoshiki wagimo ga Ihe no shiranakuni.

意味 Meaning

 by 写真AC

紅の赤裳の裾を引きながら、山藍(やまあい)で摺り染めた衣を着て、片足羽川の丹塗りの大橋の上を一人きりで渡っている娘には夫がいるのでしょうか。それとも一人で寝ているのでしょうか。聞いてみたいと思うあの娘の家も知らないことです。

・「しな照る」は「片足羽川(かたしはがは)」、「若草の」は「夫」、「橿(かし)の実の」は「独(ひと)り」の枕詞(まくらことば)として使われています。

- rough meaning: A girl wearing a robe dyed with andYamaai dragging the hem of her crimson skirt is crossing the red-painted bridge over the Katashiha-gawa all by herself. I wonder if she has a husband? Or does she sleep alone? I would love to ask about her, but I don't even know where she lives.

補足 Note

・この歌の題詞に「河内(かふち)の大橋を獨(ひと)り去(ゆ)く娘子(をとめ)を見る歌一首[并(あわ)せて短歌]」とあります。「片足羽川」は大和川かその支流ではないかという説があります。「河内の大橋」がどこかは特定されていません。

更新日: 2024年06月30日(日)